5月17日 中空軸モータと回転数とトルクの関係。
最近コンベア等の装置の駆動に使用するモータは中空軸モータを採用する機会が多い。駆動とは動力伝えて動かすことであり装置、機械ではモータを使用しその装置自体に動力を伝え動かす。その力の元であるモータの種類の中で使用が増えているのが先に記した中空軸モータだ。下記がそのモータを取り付けたコンベアの様子だ。
従来と何が違うかと言うとモーターの動力を直接伝えているのだ。その従来とはモータそして相手側シャフトにスプロケットあるいはVプーリを取り付けローラチェーンあるいはVベルトを介して力を伝えていた。それらの部品全くなしで回転させるべく相手側へモータそのものを直接取り付けている訳だ。
何故そんなことをするかと言うと下記のメリットがある。
1)部品点数が減り従来必要だったメンテナンスの必要がない。例えばチェーン、ベルトの張りの調整。あるいはチェーンへのグリースの塗布等。
2)設計が楽。モータ取付用の架台のスペースが必要なくなる。
メリットばかりだが使用できない場合もある。例えば乾燥装置等回転させる対象の軸が高温である場合。あるいはスクリューコンベアへの取り付けも実は余りお薦めしない。
この直結形のモータを採用する場合2点ほど心配な点がある。1)トルクそして2)回転数詰まり速度の調整だ。それについて自分なりの探って行きたい。今後の内容は以前メルマガでも記載した過去があるのだが改めて記したい。
1.トルクと出力の関係
コンベア等機械装置に利用するモーター選定時は必ず必要な容量、出力を計算する。では一体その出力とは何なのか。
1)トルクについて
先ずトルクとは何なのかを書いていく。トルクとは簡単に書けば回転軸を回転させる力であろう。単位を書けばN・m(ニュートン・メートル)だ。この単位のNだが、具体的に書くと「1N=1kg・m/S2」という式で現わされる。これは「1kgの物体を毎秒1M加速する力」を意味する。そしてトルクの単位であるN・mはそのNの数式にmを掛けてある。
つまり「回転軸から1M離れた1kgの物体を毎秒1M加速する力」ということになる。
2)出力とは
次に出力とは何か。トルクが回転させる力とすると出力とはその仕事と言うことができる。トルクという力でどれだけ仕事ができるのかと言えば良いのだろう。そして仕事には距離の要素が入っている。出力の単位はKWだ。この単位について順を追って書いていく。
先ず、回転軸から1M離れた物体が毎分N回回転する際に1秒間に移動する。距離Lの計算式はどうなるか。
「L=1×2×円周率×N/60(M/S)」
そして1J(ジュール) = 1N・m。1W=1J/S。
出力KWをPそしてトルクN・mをTとする。出力の計算式は下記で表現さる。
「P=T×L/1000」上記Lの計算式から
P=T×2×円周率×N/60000
P=T×N/9549.3(KW)と言う事になる。つまり出力とはトルクに回転数を掛け9549.3で割った数字だ。
3)トルクと出力の関係について
上記2)の計算式より出力がトルクに回転数をかけたものに比例するという表現ができる。この関係式はとても重要で例えば出力が一定の場合回転数が小さくなるとトルクは上がる。逆に回転数が大きくなるとトルクは下がります。そしてトルクが一定の場合回転数が小さくなると出力は小さくて済む。逆に回転数が多くなると出力は大きくする必要がある。
2.モーターの回転数を小さくする方法
コンベア等機械、装置等で使用する駆動には電動機、モーターを使用する。モーターの回転運動をそのまま回転運動のままあるいは直線運動等に変換させ使用する。通常モーターそのままの回転数で使用するのではなく回転数を減らし使用することが多い。
その回転数を下げる方法には下記がある。
1)ギアドモーターあるいはモーターと減速機連結して使用する。ギアドモーターはギアの構成部とモーターが一体化されている。そして減速機はそのものが単体でモーター駆動と連結して使用する。そのため減速機使用は設置寸法が大きくなる。いずれにしてもギアの組み合わせで減速させている。出力回転数に合わせて大きなギアと小さなギアを組み合わせ回転数を下げている。モーター容量、出力が同じであれば減速するギア比が大きければ大きいほど回転力トルクは大きくなる。逆に、回転数が小さくなるほど大きなギアが必要なためトルクは大きくなる。
2)スプロケットホイル、Vプーリー、ギアによる減速
駆動のモーター側と駆動させる従動側の組み合わせの伝導部品の大きさの差で回転数を下げる方法だ。スプロケット等の大きさの比が大きければ大きいほど回転数を小さくできそれに伴いトルクは大きくなる。通常、ギアドモーターへスプロケット、ギアを取リ付けさらに回転数を小さくする。それにより、より一層トルクは増す事になる。
従来回転数とトルクの関係によりモータ選定を行っていたとも言える。だが直結型モータはそれはできない。モータそのものの回転数が装置自体の回転数となる。回転数を少なくすることはできないのでトルクはモータ出力ものものになると言える。では中空軸モータ等直結形のモータの回転数調整はどうするか。それはインバータを使用することになる。
3)インバータ制御
インバータとは周波数変換装置のことで、電子制御により電圧・電流・周波数を自由にコントロールできる機器だ。インバータの基本動作は、電子回路により交流電力をいったん直流に変換し再び任意の周波数の交流を作り出すことだ。つまりインバータはモーターの周波数を変えることにより回転数を自由に制御できる。
インバータ使用はあくまでも電子制御のため回転数を小さくしても決して回転力トルクが増すことはない。そればかりか、あまりに周波数を下げ回転数を小さくすると回転力トルクが落ちてしまう。
特に20HZ以下はそうだ。
逆にインバータ制御は周波数を50HZ、60HZ以上に上げることも可能だ。しかし、モーターの基本仕様の回転数以上に回転させることになりベアリング等の早期損傷が当然考えられる。又、インバータ制御用に定トルクモーターが製作されている。最近はインバータの性能が上がり周波数を変えてもトルクがあまり下がらないのも事実だ。本来必要である回転力トルクはインバータ使用時はいくら回転数を小さくしても増すことはない。それどころか回転数をあまりに少なくするとトルクは減る一方だ。インバータを回転数制御に使用するのであれば、微調整用に使用するのが本来の使用方法かも知れないが。
そしてインバータから発生するノイズとノイズ音。そのノイズが制御側に何らかの影響を与える場合があり、又、特有のノイズ音を発生させるのも注意点であろう。
最後にモーターを回転させる必要なトルクが最大になるのは起動時だ。そして一旦回転を始めると次第に安定した一定の回転力となる。
起動時のトルクを「起動トルク」と言い定格時のトルクを「定格トルク」として区別している。
ついでにメルマガも申し訳ないのですがたまには書いているので宣伝のためリンクを張っておく。
それでは又です。
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